屈折矯正手術の歴史

そもそも、手術による屈折矯正手術は最近始まったことではありません。
近視の手術的治療は古くから試みられ、
すでに18世紀には水晶体摘出による近視治療が行われていました。
しかし、現代の近視矯正手術のルーツは戦前の日本にあります。
角膜に外科操作を加えることにより近視を減弱する術式を、
世界に先駆けて臨床応用したのは順天堂大学の佐藤勉先生でした。
佐藤先生が試みたのは、角膜前面後面放射状切開術
(角膜表面と後面に放射状に切り込みを入れる方法)でした。
角膜前面後面放射状切開術は昭和20年代に施行され、
近視治療にはある程度成功しましたが、
角膜後面の切開によって角膜の維持に不可欠な内皮細胞が障害されて見えなくなる症例も多く、
長期的にみた結果は満足のいくものではありませんでした。
この経験が日本において、近視の手術に対しての慎重な姿勢を生み、現在に到っているようです。
この術式自体はその後の変遷を経て、角膜放射状切開術(Radial keratectomy)へと進化し、
有効な近視手術の一つとして認知され、ここに本格的な屈折矯正手術が始まりました。
1980年代にはアメリカでRKの大規模な試験もおこなわれ、
世界的にもある程度の効果があることが認められました。

一方、1975年にエキシマレーザーが開発され、
1980年代から眼科への臨床応用が始まり、これがきっかけで屈折矯正手術は飛躍的に進歩し始めました。
このレーザーは高い光エネルギーにより分子間結合を解離させる光切除によって、
角膜をサブミクロン単位で平滑に切除することができます。
エキシマレーザーにより、角膜を面状に正確に削る
Photo refractive keratectmy(PRK)と呼ばれる手術法が確立しました。
PRKは、従来のRKに比べて短時間での手術が可能であり、
しかもその精度も高いというメリットがありました。
しかし、PRKには手術後に痛みを伴うことや、
術後の視力回復に時間がかかるなどの欠点がありました。
これらの欠点を補えるのが、レーシックです。
レーシックは1990年にギリシャで初めて行われ、
以来、急速に世界各国に広まっていきました。
アメリカでは1995年頃からこの手術が普及し、現在では年間200万件以上行われています。
また、アジア各国の中でも、韓国や台湾、シンガポールなどでは
日本よりも早くからレーシックが普及していました。
日本での手術件数は2004年の時点で年間4万件程度であると推定されています。
他国に比べると普及のスピードは緩やかですが、
眼科専門医によって高い水準でレーシックが行われています。
ついに、近視を手術によって治療できる時代がやってきたともいえるでしょう。

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